高瀬彼方『カラミティナイト -オルタナティブ-』2巻

 1巻の感想はこちら。
 http://d.hatena.ne.jp/sakakigura/20090325#1238945778


 というわけで2巻の感想です。
 ハルキ文庫版『カラミティナイト』の後半部分に当たります。
 1巻が主人公サイド3人娘の内、智美がメインになっている話でしたが、それに対して2巻は、優子の親友でバスケ好きの活発少女・櫻井優子が多分メインになっている話です。基本的に1巻の事件に巻き込まれていく感じで話が進み、敵役の暗躍もあって第2の事件へと流れ込んでいくのですが、結構優子は能動的に動き回っているので好印象。んでもって、部活サイドの友人と智美の間で板挟みになったりする中で、それでもどうにか事態を改善しようと苦闘する姿もこれまた非常に好印象。他にも主人公3人娘の内、全ての元凶(……っていう言い方をすると、彼女のことを責めているみたいで心が痛むのですが)、『災禍の心臓』の持ち主・ホリィとのやり取りでも、智美のことをちゃんと考えようとしている優子の意思が見て取れて、非常によいと思います。
 それだけに、終盤のインパクトがもの凄いことになっています。優子にとってはかなりショッキングな事態になってしまうのですが、その事態に対する彼女の『決着』の付け方が非常にあっさりと描かれていて、その淡白さも『決着』の酷薄さを際立たせていて、お話の作り方としては非常に正しいんだけど、「彼女」はこの後どうなってしまうんだろう、と考えると、どうしても割り切れない思いがあります。
 ってか、感想書いてて気が付いたのですが、この話って『災禍の心臓』を巡る大きな物語にどう決着をつけるつもりなんだろう? ととても疑問が残った。何にせよ続きに期待。