ハーラン・エリスン「死の鳥」

 エリスンは初めて読んだ。
 知人の書いたエリスンの紹介文に、この作品の冒頭部分が引用されているのを読んで、その格好よさにシビれて以来、ずっと読んでみたかった作品。ようやくこの度読むことが出来た。SFマガジンのバックナンバーでしか読むことが出来ないと誤解していたのだけれど、別ルートの方が入手が容易だ、という情報を得たので、早速Web上の古本屋で注文して購入。
 作品の話に戻る。
 前述の引用部分だけを読んだ段階では、「もの凄いハイレベルな知的ゲームとか頭脳戦とかの予感」という期待をしていた。読んでみると、その期待は外れたというのが第一印象だったのだけれども、ちょっと反芻してみると、非常に緻密に計算されていて、色々な見方で読み返すことが出来そうな上に(まだ1回くらいしか読んでいないけれど、分量的にそんなに長くないので、折を見て読み返したりしてみようかな)、文章の格好よさのクオリティは高く保たれていて、文句無く傑作。
 知的ゲームという期待にも、読む前に想定していた、綺麗にオチが示されて納得して、という形のものとは異なるけれど、目からうろこを落とされる感じと言うか、普段気にしてないけど改めて尋ねられると答えに詰まって考え込んでしまうような類の問題提示と言うか、そういった類の謎があって、腑に落ちない部分の腑に落ちなさを楽しむことが出来て、ある意味非常に質が高くて高評価。オススメ。