『コミックギア Vol.2』を読んでみたよ。

総評

 Vol.1 を読んだときの感想はこちら
 依然として、ページ数が多いせいで不当に貶められてしまいそうな作品が多いなあ。多分ページ数の多さは、経済的な状況に律束されているんだと、ある種好意的に考えて置きたい(作家陣が、不当にのばして水増ししている、と言う状況ではないということね)ところではあるが、それもちょっと自信がなくなってきたわ。2話目を読んでみて、明らかに4コママンガみたいなシリーズ構成している作品が、ちらほら居るんですもの。それは、4コママンガだと効果的に機能すると思うけど、ここまで1作品のページ数がボリュームのある状態だとどうなの? と言うツッコミをせざるを得ない。
 以下、各作品について。

ヒロユキ「スーパー俺様ラブストーリー」

 相変わらず、あまり言うことはないかも。見開きが減った、と言うのは他の感想ブログなんかでも言及されていますよね。個人的にはムネさんが好みです。とりあえずムネさんの出番を増やしてくれれば何でもいいや。投げやり。

友吉「GoodGame」

 ええっと、重大なバグの予感? それとも、超高速で高度にP2P通信とGPU処理やってるから大丈夫だよ! っていうこと? 何だか説得力に欠けるなあ。リアルタイム処理に限らず、トランザクション処理とかでも出てきそうな問題なので、もう充分過ぎるほどのノウハウがあるはずなので、どうも見ていて脱力してしまうわ。コラムでツッコまれてたから良いのか。
 特訓の描写も何だかイマイチ説得力に欠けるというか。コマ割りだけじゃなくて全体的にこう。百歩譲って体力が必要だとしても、DQNが闇雲に訓練をやって結果の確認をしないで回数だけを競っているようにしか見えない、と言うか。ヒロインの特訓シーンでは、他と比べて更に画面がもの凄いスカスカなのも、説得力の低下に影響しているかもしれない。
 あと、お色気描写が増強。何だかお色気担当の巨乳(?)っ娘みたいなのも出てきた。

九品そういん「プリンセスサマナー」

 百合描写メインで良いのかなあ? ゲームで使うカードの絵柄が萌えに寄っていて、日常描写の部分でも存在する「キャラのアップの使い方のこなれてなさ」と合わせて、カード召喚時の迫力とか緊張感に欠ける、と言うのは百歩譲って許すとしても、ゲームの展開が「マンチキンな戦法をとって、相手をタコ殴り」に俺には見えてしまうのはどうなのよ。「デッキの相性」とか、そういう問題で解決して良いのかしら?
 ゲーム部分をツッコミ始めると、「おまえらカードリスト読めよ」でファイナルアンサーで、昔富樫先生がやったみたいに、見開きでカードリスト掲載とかやると、ゲーム界隈からの注目を集められて良いんじゃないですかね、ということになって、そこまで求めるのは多少酷なのは分かっているのだけれど。

ユーゴ「ゴーストラッシュ」

 まあ、ガンバレ。バイクとかまた……いいぞ、もっとやれ! (俺はどっちも1巻しか読んでないけど)『喰霊』とか『屍姫』とかに負けないように、って言うのは若干酷なので、『変幻戦忍アスカ』を越える傑作をお願いします! 何だか他の掲載作品でお色気増強しているのがいくつかありますけど、コイツこそもっとお色気増強するべき、と言うか、脱がなくても存在だけで色気を醸し出すキャラを配置してしかるべき作品だと思います。コマ割りとかアングルとかのこなれてなさについては前回触れたので割愛。

とりねこ。「ヒヨコと道化と不思議の町と」

 相変わらずの良作クオリティ。このまま行っていただきたいところではあるが、不測の事態に巻き込まれそうになったら、自分の身の確保を第一に考えてほしい。

櫻井マコト「アシュラ」

 うーん、前回よりもちょっとダレた印象。前回は「アシュラがトイレで落ち込む」描写がプロットのオチとして効果的に働いていて、「色々な事件が起きる -> アシュラがトイレで落ち込む」と言うサイクルが良い意味でも悪い意味でも4コママンガ的だったんだけど、今回は(意図的なのかどうかははっきりしないけど)そのサイクルから外れていて、結果として俺はダルくなっているという印象を受けた。後半の新キャラ登場から結末までの部分は、オチになりそうなシーンが連続していて、無用なインフレが起きている感じかな? どうせなら、新キャラの天然具合をもっと過激にして、何度か「アシュラが銀行へ行く -> 騒動が起きる -> アシュラがトイレで落ち込む」と言うサイクルを繰り返すようにして、「何度ひどい目にあっても明るく接してくれる新キャラ銀行員」とかにすると、良かったんじゃないかしらね

佐藤ユーキ「デスハート」

 あー、何事もなかったかのように、新キャラ女子2人登場。って、だったら1話から日常的な姿ぐらい登場させとけよ! この辺のシリーズ構成みたいなのが、悪い意味で4コマ的でちょっと不快感。結構なページ数あるんだから、第1話を主人公の印象づけだけに割いて、余計な描写増やすよりは、次への布石の描写入れとこうぜ。序盤のネットを盲信する描写とかいらなくね? 一応1話の表紙にはミス海浜大らしき女子が居るって? そんなもん、ネット巡回の場面の、あまりの主人公の情弱ぶりのせいで、一切印象に残ってないわ!
 んー、第3話はどうなるのかなあ。三角関係が発生するのかなあ。ヒキの部分に思いっきり物騒なモノローグがありますけど、大丈夫?
 ってかやっぱりあんまりにも状況がシビア過ぎて、主人公が最適な戦略をとったとしても、読者からは感情移入しにくい選択肢を選ぶハメになって、イマイチ面白くならないのではないのかしら。そういった選択肢をとらざるを得なかった悲しみみたいなのを理解しろって言うこと? それは何だかあまりにも押し付けがましいよねえ? あと、現状の主人公が本当にタダのバカなので、その辺の悲しみとかそういう深い感情とか思慮を持っている姿を想像できないってのも、ネック。甘詰留太先生の漫画とかを読んでくるといいかもしれません。嫌なら、モノローグで色々心理描写をしてしまう系のエロ漫画とか青年漫画とか。

若林稔弥「大魔王ザキ」

 女剣士が可愛いよ。それだけ。

じゅら「マシンガンソウル」

 声優と結婚したいんなら、もうちょっと別の道を模索した方がいいよ。今、この文章を書いていて『GEAR戦士 電童』のメルペちゃんの話を思い出した(メルぺちゃん、と言うのは、おそらくメールペットの略です。当時流行ってたんだろうね、ポストペットとか)。声優とボディーガードとかで。何ていうか、そこまではっちゃけてくれていれば、もうちょっと救いようがあるような感じ。現在は中途半端に『ベルセルク』鷹の団編の敵キャラの劣化コピー(っていうか悪い意味でのパロディー)みたいなのが出てきて、正直つまんないよ。
 お色気を増やします、と言っているけど、お色気漫画としても何だかなっていない感じのする状態。これだけページ数があれば、女教官が水着で回復用のカプセルに浸かっている -> そこから出て戦闘 -> 敵に捕まって無意味に服が破けて半裸、ぐらいまでの展開が出来るのに、戦闘はしてるんだけど、女教官へのスポットの当て方がタダのモブと一緒、と言う状態になっているので、前半の水着部分に何とも間に合わせ感が漂う。お色気というのは、胸の谷間とか水着姿を画面に入れれば良いと言うものではなくて、もっとこう、いろんな角度(物理的な角度もそうだけど、ジャンル的な角度からも。例えば服を着ているにしても色気を演出する方法というのはいくらでもあるわけで)から舐め回すようにしないと。姫の服のシワの描き方なんかを見ていると、この人はそういう着衣状態での色気の演出とかが出来ない訳ではなさそうなので、その辺が残念だわー。

以下は適当に。

 うー。「スーパー俺様ラブストーリー」が12月に単行本発売、とか第3号以降のの隔月刊化とか色々あるみたいですが、正直、「3月発売の第4号掲載分で、全作品4話分出揃う -> 『スーパー俺様ラブストーリー』以外の作品は、翌4月に単行本化 -> 単行本が売れなくてプロジェクト破綻」の道が見えるわー。そこまでひどいことにならないって? えー? でも芳文社だよ? 色々月刊4コマ誌を出していて、あんまり余裕がある様には見えないけどなあ。これは単行本扱いだから会社の経理上、これで赤字が出てもあんまり関係ないのかしら。
 後は、やっぱりダメそうな作品はダメだった、ということを確認した。色々変えてきている作品もあるのだけれど、その辺がうまく働いていないというか、場当たり的に「とりあえず前とは変えてみました」だけな印象。
 やっぱり「とりねこ。先生逃げてー!!」と、大声で練馬方向に向けて叫びたくなる。その場は絶対あなたの精神にもよくないから! 連載は魅力なのかもしれないけど、雌伏する期間も必要だから!
 流石に、Vol.3を買うのはどうしようかしら、と思い切り逡巡せざるをえない。