椎名高志『椎名高志短編集 (有)椎名大百貨店』

 一年くらい前に買って読んでないままになっていた漫画。前に出ていた短編集に収録している話の続編があるのに版型が違う、というのは何だか個人的には違和感がありますけれど、まあしょうがないかな。
 内容は……「パンドラ」と「蜘蛛巣姫」の印象が強いせいか、色欲をカリカチュア化して面白可笑しく、みたいなイメージ。まあ、椎名の短編ってたまにこういうのあるよね、とは思うが、若かりし頃と同じような作風というのは、ちょっと不安だけど、個人的には好き。この辺の不安な感じは本人も後書きで触れていたけど、そういうコトを書いてしまうあたりも個人的には好感が持てるなあ。
 個人的に一番好きな短編は「蜘蛛巣姫」。やさぐれ女主人公の見ていて気持ちの良いはっちゃけ振りが非常に好感が持てる。男主人公の立場に俺が立たされた場合に俺がどうするかというと、作中で示されているのと同じようにしか出来ないんだけど、だからこそ女主人公がちょっといとおしかったりするのだ。