『運命のタロット』を薦めるかどうかのチェックリスト
はじめに
身近に『運命のタロット』を読んでみようかな、という人がいるのですが、俺がその人に『運命のタロット』を薦めるかどうか考える材料として、チェックリストを作ってみた。俺個人の意見だから『運命のタロット』のファン一般からは少し外れるかもしれないけれど、まあ、とりあえずやってみよう。
チェックリスト本体
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- 登場人物が、どうしようもない運命に絶望せずに立ち向かっていく話は、お好きですか? (3点)
- 恋に盲目になるあまり、ドロドロした醜い部分をさらけ出す女の子は、お好きですか? (3点)
- 救いようの無いひどいお話になっても、耐えられますか? (3点)
- 多少(大分?)わざとらしい気がしないでもない伏線の張り方には、耐えられますか? (2点)
- 官能的だったり直接的だったりな描写はお好みですか? (2点)
- 登場人物がどこと無く「萌え」を意識したような言動を取ったり、「萌え」を意識したような造形になっているお話は、お好きですか? (2点)
- 80年代前半のオタク文化的なものに興味はおありですか? (2点)
- 男色が出てきても耐えられますか? (1点)
- ツングースカ大爆発の真実を知りたいですか? (1点)
- フィラデルフィア実験の真実を知りたいですか? (1点)
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結果の判定
0〜10点
あまり『運命のタロット』を読むのはお勧めしません。
11〜15点
お時間が許せば、読んでみても良いのではないでしょうか。買うのはちょっとリスクが大きいかもしれませんので、図書館とかで借りるのでしょうか。
16〜17点
買ってみてもいいかもしれません。序盤の数冊でくじけなければ、コンプリートするのも良いのではないでしょうか。
18点以上
損はしないと思うので購入することを強くお薦めしたいところです。
質問内容の補足
1〜3は、話の内容に対して、極力ネタバレを避けて表現するとこうなる、というもの。人に薦めたいんだけれど、「ここまで読んで引っかかったらOK」という線引きが、なかなかやりにくい小説なのである。流石に第1のエピソードまで終わって引っかからない人とは、ご縁が無かった、と思いたいのだけれど。
4〜7は、文体関係の内容。伏線の張り方は、個人的にはそんなに上手じゃないと思っている。不自然な表現とか台詞とかがあって、登場人物がそれについて頭をひねる、というのは、上手な伏線の張り方とは言わないんじゃないか。具体的には「何で運命の『タロット』なんだろう? トランプならいっぱい数があっていいよね?」みたいな話で1章使うとか。「官能的」はキスの描写とかで、「直接的」は生理の話とか。「萌え」を意識しているような部分は、第2部になると結構顕著に出てきます。個人的には、10年とは言わないでも、あと3〜7年くらい待って他レーベルで展開するとかすると皆川ゆか先生にはお金ががっぽがっぽ入ったんじゃないか? とつい考えてしまいます。その辺と絡んで「80年代オタク文化的なもの」の描写も、もう少し時間を置けば、と思わなくは無いです。何故この人たちはBL同人誌を作成した挙句同人誌即売会に行ってコスプレをしますか。あーだから川崎もある意味聖地なのだよな。
8〜10は、枝葉の内容です。男色は1回しか出てきません。あとはガジェットのトンデモ臭というか疑似科学臭というか、そういったものについてのチェックです。
俺の意見とか
基本的に『運命のタロット』はクセが強すぎる小説なので、人に薦めたいのだけれど、なかなか上手くいかない。多分序盤のクセの強さを乗り越えれば、1部の最後には、それなりのカタルシスが待っているので、薦めて恨まれる事は無いと思いたいのだけれど。
序盤のクセの強さ、って言うのの具体的な内容は、
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- オタク描写の分量
- 1冊読んでも話がそんなに進まない。
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っていうところなんだけれど、これはいかんともしがたい。オタク描写は、皆川ゆか先生なりのサービス精神の発露(「本筋の話が結構キツくなりそうだから、その分読者への息抜きとしてオタク描写は書いています」みたいな文章を何処かで見たよ)で、そのサービス精神が空回りしているように見えるのが、個人的には大好きなのだけれど、万人に受けるかというと微妙なところである。
第2部になると、皆川ゆか先生のかっ飛ばしっぷりに拍車がかかってきて、主人公は序盤から○○○○○になったりもするわ、後半には数式が出てくるわと、見ていて非常に楽しいのですよ(数式は理解していませんが)。
あと、第2部では第1部で脇役だった人の一部が、成長した後でちょっぴり活躍したりする部分もあります。婦警さん! 婦警さん! そういうのがお好みな方は、そういった側面でも楽しめるかも。