五十嵐雄策『乃木坂春香の秘密』

 以前『護くんに女神の祝福を!』のどこかの巻のあとがきで、「読者人気投票で乃木坂春香に負けてしまいました」みたいな記述があって、気になっていたので、このたび購読。うーん、乃木坂春香自体は(良くも悪くも……ってのは性格付けがちゃんと緩急ついていて安心できる、と同時に俺が作者の意図通りに動かされている、という妄想に俺が悩む……といった程度の意味なのですが)可愛いのですが、それだけ、という気がしなくもない。前に『とらドラ!』の感想で書いたことにも近いのだけれど、結局のところタイトルの通り乃木坂春香の「秘密」に主眼が置かれていて、その秘密は、学校という物語の主軸となる(つまりはいろいろなキャラを絡ませてお話を作りやすい舞台である)場所において主人公しか(1巻収録分まで読んだ限りでは)知り得ていない、という状況設定に問題があるのではないだろうか。いや別に秘密なら秘密で秘密を知り得るサイドの人間を(校外の友人とか)増やすと言うのはありなのかもしれないけれど、そうすると秘密が秘密じゃなくなってしまって、乃木坂春香自体のキャラ造形にも支障をきたしそうだしなあ。
 後述のように、2巻、3巻も買ってあるけれど、こんな状況が続くんだったら考え直すかもしれない。