瀬尾つかさ『琥珀の心臓』

 タイトルと口絵の若干の百合っぽさに惹かれて買った本。ロボット(っぽいもの)は出てくるケド、ロボットものじゃない。主人公3人(2人……かなあ)が、異世界へ飛ばされたときに直面した問題や葛藤を描いて、ストーリーが進むにつれて、それを解決していくというのは(解説にもある通りで)面白い。ストーリーの主軸はロボットではなく、こっち。ただ私が気になったのは、全文読み終わってから振り返って解きほぐしてみると案外単純なストーリーなのに主人公級のキャラの葛藤を前半部分で提示するために、前半部分で時間軸のあちらこちらへ移動していて、セクションをある程度読み進めないと、その文章がどの時間(ストーリー冒頭からどれくらい時間が経過している時点を記述しているのか)がわかからないせいで、ちょっととっつきづらい印象を与えているということ。解説には「構成の甘さ」というのが指摘されていて、「漂流記モノとしての色を強め、ブラッシュアップを重ねて出来上がったのが本作です」とあるのだけれど、もうちょっと全体的にとっつきのいい文章になる余地はある気がする。でもここまでブレイクダウンしたレベルの話になると、全体の構成、というよりも文体とか文章のクセとかの話になるので、それほどこだわる必要はないのかもしれないケド。
 あとは口絵の百合っぽさは割と信じていいと思います。主人公級3人(女の子2人と男の子1人)で、女お子2人が信頼しあっているので、口絵が完全に客寄せのためのブラフだ、というコトはないです。女の子2人の間では六対四くらいで優子が好き。こういう指揮官系のキャラは大好き。