竹宮ゆゆこ『とらドラ4!』

 実乃梨の見せ場があるのはいいのだけれど、そこでの実乃梨の独白がどうにも腑に落ちないかなあ、って感じ。正直そんなことを言われても、読者としては困るというかな。(無論読者の代理である竜児くんは困りつつも何とか自分の気持ちを伝えようとしていて、そういう姿勢に文句は無いのですが)恋愛関係ってどうにも女の子に有利に出来ていると感じているというか、女の子に有利になるように振舞うよう男の子が教育されていると感じているというか、そんな価値観である0米主義者の私には、実乃梨の言っていることはどうにも絵空事というか空疎というかそういう風に感じられてしまいます。深読みすると、実乃梨は竜児との会話を誤魔化しているのかもしれないけれど、それは私が実乃梨の中の悪意の存在を信じ過ぎているという気がするなあ。かといってあの辺の独白で作者様が「みのりんファン萌え萌えだぜ、ぐへへへへ」と考えているというのは作者様の中の悪意の存在を信じすぎているとも思う。独白の内容自体は、メタファーとして結構上質なものなのに、それを3巻まで何の準備も無く長台詞を喋っているということに私は違和感を感じてしまうのです。それともなんですか、助走が無い(特に実乃梨の恋愛について3巻まで記述が無い)ことが、壮大な伏線だったのでしょうか。そりゃ壮大過ぎだよ。