奈須きのこ『DDD1』

　読了。面白かったよ？　時系列やら視点やらが色々変化するし、読み辛かったけど(多分その辺が作品の面白み――煙に巻くミスティフィケーションとか叙述トリックとかそういった類のもの――なのだろうね)。その辺の分かりにくさと、主人公が能力を発揮するあたりのお約束的な分かりやすさとが、適度に混じっている辺りが多分作者のやりたいところなのかな、と思う。巻末の年表を見るとまだまだ執筆されていても単行本に収録されていない事件もあるようなので今後に期待。
　シリーズとして見たときの「大きなお話」については現状ではまだ語られてないのかな？　年表によると何かこの辺が絡むのかしら、という予感のある用語がちらほら見えるのですが。しばらくは妹と主人公の関係とかに絞られていくのかしら。
　奈須きのこの文体については何か色々言われているみたいだけれども、俺自身は好き。多分漫画とかで、メインの綺麗な絵と吹き出しの中に端的に(誤解を恐れずに言うと、ちょっと主語が欠けたりするような日本語で)書かれた主人公のモノローグや情景描写と、って言う組み合わせに慣れているからなのかしら。