野尻抱介『ロケットガール4 魔法使いとランデヴー』

 毎度おなじみ、ロケットガールの新刊ですよ。今回は、ドラゴンマガジン本誌に掲載された短編3本と、書き下ろし中篇1本です。
 (以下ネタばれ含む)
 短編3本は(「ムーンフェイスをぶっとばせ!」「クリスマス・ミッション」「対決! 聖戦士VS女子高生」)、まあドラゴンマガジンに掲載されるとこんなもんだよな、という感じの作品なので、特筆するところはあまりない。一見さんにもある程度親しみやすく、限られた分量で書くと、スラップスティックの部分が大きくなるよなあ、という、ある種当然の作品。個人的に『ロケットガールズ』のスラップスティックな部分って言うのは、最後のクライマックスにむけた展開を滑らかに進めるためのものだと思っているので、あんまりスラップスティックな部分が多くて、最後のシリアスな盛り上がりに欠けるような話は、ちょっと俺の好みではない。
 表題作にもなっている中篇「魔法使いとランデブー」は、3巻ほどではなかったですが、まあ面白かったですよ。最後の部分で、相変わらずスピード感溢れる展開があって、それはそこそこ面白かった(3巻の最後のほうが俺は好きだけれど)。それ以上にマツリにスポットがあたっている部分が、俺には好印象だった。何だろうな、マツリは多分それを当たり前のことだと感じているんだろうけど、そう考えていることがゆかりにとっては(ひいては読者にとっては)悲しいと思ってしまう。マツリとゆかり、双方の感情も理解できるし、もし俺がその場に第三者として存在して真実を知ってしまっても、やきもきするかなあ。とにかく、とても印象に残った。