たなかのか『タビと道づれ』1巻

 上記のような理由で購入してみた本。主人公や周囲の人間が他人と関わり合うことに対して不器用というか、あまり上手でないというか、そういう感じを前面に押し出してきている辺りが、若々しいというか瑞々しいというか、そういう印象。「これ初連載作?」と思ったが、どうもそうではないらしい。知人から『クレセントノイズ』っぽいよね、という評が下っていたけれど、「超常的な能力と他者とのコミュニケーションの問題をダイレクトにつないでガジェットを組み立てる辺り、『クレセントノイズ』に近い、と言えなくもないなあ」と俺も思った。「友達が欲しいので、亜空間にたくさんの人を閉じ込める」とか、マジで『クレセントノイズ』に出てきそうだなあ。
 全体的なテイストとしては思春期とかにありがちな他人との距離感の問題が前面に出てきていて、最近の『ARIA』みたいな、周囲の人間が善人で自分のことをある程度考えてくれていることが担保されている世界と違っていて(いや、『タビと道づれ』の方も多分善人なんだろうけど、そのことをあえて明言しなくてもいい空気が醸成されていないって言うか、いちいち声に出して確認しなくちゃいけない、て言うかそういう世界だよね)、ま、好ましい。