黒崎薫・和月伸宏『武装錬金 // −ブソウレンキン ダブルスラッシュ−』

 コミック版の続編というか、語られていなかった部分の補遺と言おうか、そういった内容。なんだろう、本を一冊使った割に話のボリュームがそんなに無かった気がする。その辺は本編のスピード感溢れる構成を引き継いでいると好意的に受け取るべきなのか、それとも単純に文体がそういったボリューム感を出すのに失敗していると批判的に見るべきところなのかは良くわからない。まあ、あまり文体に違和感は感じなかったので、そこまで深く追求すべきポイントではないのであろう。
 どちらかというとキャラがちょっと出すぎな感じのほうが、個人的に鼻についた気がする。再殺部隊の面々を中途半端に出すってのは、何かただヲタク臭さを強める方向にしか行かないのではないかと、ちょっと心配になる。
 というかそもそも、

    • プロローグ 2p
    • 第1章 31p 「武装錬金アフター」くらいの時期
    • 第2章 160p 本編中で語られていない過去の話
    • 第3章 17p 第1章と同じ時期
    • エピローグ 第3章と同じ時期

 という構成が何か間違っている気がする。第2章に絡まないキャラを出す余地はあまりにも少ないのに、そんなキャラを色々出しすぎだと思う。
 キャラをいっぱい出したいんだったら、今回のような構成ではなくて、もうちょっと連作短編っぽい感じにまとめて、各キャラにある程度均等な話のボリュームを持たせたほうがいいんじゃないのかなあ。別にSSっぽくてもいいからさあ。