高遠るい『SCAPE-GOD』

 通称ひつじさん。まあ、そんなことはどうでもいい。
 帯の『あれが、青春だった』と言うアオリ文句がすべてを表しているというか。うん、どんな理不尽にあっても小さな希望を捨てずに、少しづつ歪んでいったり、斜に構えて行ったりする事なく、真摯に人生を送ることへの賛歌。「OLD FASHIONED GOOD-BYE」に近いと言うのは、ちょっと間違いかもしれないけど、そんな風に思った。
 ええと、あとは適当に小ネタを楽しむ、という刹那的で「萌え」とか連呼するような悪食なスタイルで受容するのも可能な(それが作者の意図と合っているかどうかは保証しないけど)作品だ、という点で、まあ一粒で二度美味しい、良質な作品じゃないかしら。