作画・蔵王大志 + 原作・影木栄貴『春夏秋冬』

 (以下ネタバレ注意)
 「はるなつあきふゆ」と読むよ。百合姫コミックスの新刊(余談だけど、俺百合姫コミックスで出ている一巻完結の単行本は全部持っているな。高遠先生といい、『蒼海訣戦』といい、俺はよく一迅社献金しているものだ)。帯によると「大人気BLコンビが放つ、少女同士の新しい恋愛のカタチ」らしい……。新しい、と言えば新しいのだけれど、描いているものの根底は(当然のことだが)あんまり新しくなくて、それを肉欲を含めた形で描くのが、百合姫コミックスのほかの作品とは一線を画しているかも(…と思ったが、『少女美学』読み返してみて、これも結構肉欲を書いてるっぽい、と思い直した)。まあ、何が新しいのかに拘らなくとも面白かった。少女たちが箱庭の中で織り成す物語のみならず、若干年嵩の女性が年齢相応に現れてくる悩みと葛藤に打ちかって、かつての自分たちにも似た少女たちへエールを送る姿も描かれていて好感が持てる(とか言うことを書くと、また「そんな年頃の女性が大好きなんですね、あなたは」的なことを言われるのかしら)。
 百合にはトラウマが必要か、ということについては、「必要はないと思うけど、バリエーションを増やす手段としては、ある程度有効なのは確かなので、否定はしない」と考えているので、登場人物がトラウマっ娘カップルと非トラウマっ娘カップルで、でも行き着くところは同じ境地、って言うところも、バランスが取れてていいとおもうよ。