鮎川あおい『ママは息子に夢中!』

 表紙を見たときには「すわ、地雷か」と思った。本来表紙は顧客に対して本の内容を伝えるほぼ唯一の手段なのだが、その表紙でこのクオリティか、と。何だろうね、描かれている線がほぼ輪郭のみで、あまり描き込みのない感じ、多少狂った感じのデッサン、そしてアニメ風に多少陰影つけました、という感じの塗り。表紙は最も力を入れるところだと個人的には思っているので、その表紙であまり訴求力のない感じ、というのは、購入するのにちょっとためらう感じ。でも購入。中の絵柄で言うと、いい意味に期待はずれだった。白黒画面にふさわしい感じの(あまり違和感のない程度の)描きこみとトーンワーク、そして予想通り時々崩れるデッサン(デッサンが崩れるというのは諸刃の剣なのではあるが)は、全体で見ると許容範囲内だったよ。表紙がなんだか訴求力がないのはひょっとして(調べてないで適当なことを書くけれど)「初めてCG塗りにチャレンジしてみました」とか、そういうことっだったのかもしれない。
 内容の話へいくよ。裏表紙には

 みんなの大好きなママが
 あんなことやこんなことまで
 ボクにしてくれる♪


 鮎川あおいがおくる
 充実のママネタ満載COMIC!

と言う文句があったが、まあそれはいい(というかあおり文句を信じてみて購入に踏み切ったのだけれど)。内容的には俺と相反するところの趣味の方のようなので、まあ、次回作は買わないんじゃないかな、と思った。何だろう、とりあえず輪姦という話のつくりがもう、俺の好みではない(いや、そういうのを好む方が世の中にいらっしゃることは知ってるんだ、でも俺はどうしても0米主義者の最後の矜持として、そういったものを好きです、と明言するわけにはいかないんだ、たとえ使用していたとしても、だ)。部分的に何話か俺好みの落ちのつけ方をしている作品もあったけれど(母親と子供が引越しをして、陵辱者の下から逃れ2人だけの新生活を送る / 送ろうと考える……みたいなやつね)、その新たな地平へは最初から到達していてほしい、と俺は思う。