『スケッチブック』アニメ化について

 適当なことを書きなぐってみるよ。こういうことをやると、後で読み返したときに嫌悪感に襲われそうなのだけれど、そのときはそのときだ。
 アニメ化に際し佐藤順一が絡むのがちょっと不安、とか前のエントリで書いたのだが、正確には、4巻の帯を見たときに『佐藤順一氏監修の下、「ARIA The NATURAL」の最強チームが総結集!」とあったから、「ARIA The NATURAL」みたいなアニメになるのかあ、と考えて、俺がちょっと力を落とした、ということなのだ。「ARIA The NATURAL」に関しては「郵便屋さんの話を変な風に脚色されたので、スタッフに対し物凄い殺意を覚えた」*1ことが第一にあって、それ以降は絶望のあまり、性根を入れてオンエアを見ていなかったので、実のところ特に全体の印象は覚えていないのだけれど、火星世界が云々というところに主眼がなくて、人間関係が云々みたいな話になっていた記憶がある。
 今回アニメ化される『スケッチブック』はどういう話か、というと、基本的に美術部連中がだらだらと日常を過ごしている話で、主人公の空という女の子は、日常の中で、それまで気がつかなかったけれど、少し視点を変えてみることで見えてくる感動、とかに敏感な女の子なので、その辺のお話が少々混じっている。しかし、美術部なのに何だか虫とか小動物に詳しい人が何人かいるので、その手のネタも多めに含まれている。なので、『ARIA The NATURAL』のような、原作初期のスケールの大きさと乖離してしまうという可能性は低いだろうし、どっちかというと『ARIA The NATURAL』の人間関係に主眼をおいた作品を作るというやり方と、『スケッチブック』とは相性がいいんじゃないかなあ、と思ったりもするが、どうしても前述の、必要のない話を好き勝手に改変して持って来たことへの嫌悪感がよみがえってきて、ちょっと不安を覚えた。
 岡田磨里については、実は『ARIA The NATURAL』に一枚かんでいたと知ったのは最近のことで、それまでは『シムーン』にメインで噛んでいる脚本家さんで、俺は『シムーン』が大好きなので、そのせいで非常にいい印象があった。調べてみると、前述の郵便屋さんの改悪には絡んでいないようなので、俺は悪印象を抱いていない。『シムーン』で見せた力の3割くらいをたまに出してもらえれば、『スケッチブック』は俺にとって鉄板なので、充分に満足できるのじゃないかなあ、と思っている。

*1:第4話「その ネオ・ヴェネツィア色の心は…」のこと。郵便屋さんつながりなのかしらんが、天野こずえ先生の短編「魔法の郵便屋さん」(『空の謳 天野こずえ短編集2』所収)のキャラが登場して、その短編を部分的になぞった行動をとる。具体的には少年がお姉さんに手紙を渡す、という行動。元になった短編では最終的にそのような行動をとるが、それに至る過程で女の子がもう一人、少年の行動や心理の変化に絡んでいて、その女の子自身の感情も短編の見所のひとつだったのに、その部分はばっさり切り捨てられ、男の子とお姉さんのキャラデザ程度でしか生かされていない、というのが俺は非常に不快感を覚えた。女の子については後日談も用意されていて、この『魔法の』シリーズは非常に見所が多い作品なのに、安易に扱われた、と俺は感じている。