CHI-RAN『秘蜜少女』
総評
本人も書いているけれど、ファンタジー色が強い。
ファンタジーなガジェットは主人公 / 相手役が自身の / 相手の内面を見つめなおす上で、上手く機能しているので好印象。
主要5編(6編収録だけれど、1編は書き下ろしの短編です。あまりボリュームが無いので、ここではカウントしません)のうち、コメディーが3編、シリアスが2編と、バランスも良さげ。
「秘蜜少女」
超能力美少女と5人姉妹の長女の百合話。「性感の結晶」みたいなのが出てきて生々しさあふれる感じでキレイにオチまでもっていっているけれど、5人姉妹を出すんなら、5人にもうちょっと均等に見せ場作ってほしいなあ。一瞬連作短編集なのかと思ってしまったじゃないか。
「百合籠」
謎のアイテム「百合籠」から出てきたミニチュア少女とちょっとキツ目の女子高生の話。
ミニチュア少女が、頭身が小さいわりに大人っぽい美人顔に描かれていて、一瞬違和感があるものの、慣れると大丈夫になった。キツ目の女子の方が和らいで丸くなっていく様子が良いなあ。
「プラネート☆エメリス」
女性界(ファム)からやってきた女の子と、親友の女の子を好きなんだけど告白できない女の子の話。
女性界(ファム) / 男女混合界(オム) / 男性界(テール)って何か元ネタがあるのかしら。CHI-RAN先生はBL描いたりもしていたハズなので、そっちでも使っているかもしれないなあ。
異世界からやってきた女の子(エメ)が、何ていうか物凄く男らしくて憧れる。ファムの超自由な恋愛観にも、ちょっと憧れる。
「好きにさせないで」
普通の共学校から女子高に転向してきた女の子と、その女子高一のプレイガールの話。
やっぱり、プレイガールの男らしい性格(相手の女の子が自分を好きになってくれるまで待つ辺りとか)と女っぽい性格(だと俺が思っている部分。インスピレーションで付き合い始めて、一緒にいるうちに相手を好きになっていこうとする辺り)のバランスのよさが好き。
あと、サブキャラの眼鏡っ娘の、眼鏡を指で調える仕草とか、一歩引いて事情知ってる風の感じとかが、俺好みでいい。
「DXDROPS」
不思議なドロップを手に入れた女の子が、ドロップの力で見た夢の中で、後輩の女の子への片思いを確信していく話。
やっぱり主役の女の子が男らしい感じ。
その他のこと
女の子が男らしい、と言う表現が、俺の文章内で何箇所か出てきますが、言及している話によっては、実際の話の内容から明示的だったり、俺がその話を読んだときにそう感じたということだったりするよ。
何だか色々なガジェットが(下着のデザインとか)男の目を意識している印象があって、ちょっと複雑な気分になったりもした。