タカハシマコ『乙女ケーキ』

 全体的に、話の構成を理解するのに時間のかかる話が多い。本心を他のキャラに見せないキャラが多かったり、視点の切り替えがあったり、時間軸が前後したりとか。
 本心を他のキャラに見せない、って辺りが、ちょっとした毒になっていて、表面的な会話とかの甘々な印象に対するアクセントの役割を果たしているのが好印象。
 あと、話の間のページ埋めに、イチゴのショートケーキのイラスト(ホットケーキでイチゴと生クリームを挟んだようなケーキのイラスト)が描いてあるのだけれど、デコレーションがあまり整っていなくて、ゴテゴテした生クリームとイチゴのレイアウトになっている辺りが、甘いんだけれど暴力的な印象があって、本編の内容と合致していると思った。更にこのイラストは、後になるにつれてナイフが入れられてカットされていくのだけれど、そのナイフの刺さり方とか、ケーキが無くなっていく様子とかも、綺麗ではなくて、歪で暴力的な刺々しい印象があってよい。