こいずみまり『家政婦のエツ子さん』1〜3巻

はじめに

 こいずみまりが好きなのに、今まで手を出していなかった。理由は多分タイトルを見た瞬間に、『巨乳OLみゆきちゃん』とか『愛のふじつぼ』とかと同じような印象を感じてしまい、何だか手を出せずにいた、ということだと思う。読んでみた後の大まかな印象としては、予想通り『お姉さまとお呼びっ!』とかに近かった。『ガーデンオブエデン』とかの出来を期待するのは無茶だとしても、『健全恋愛ライフ』くらいに化けるのを期待したいような期待したくないような。

市原エツ子について

 黒藤家の面々に振り回されたり、逆に持ち前の天然さで黒藤家の面々を振り回してみたり、というキャラ。こいずみまりの作品では(他の作者の作品でもそうなっているモノも多いと思うが)ボケとツッコミの役割分担が一定していなくて、面白いなあ。
 夏バージョンの髪をあげたエツ子は可愛いなあ。

黒藤(コクトー)家の面々について

 亜麗はぱっと見性格がヒネくれているのだけれど、あんまりそのように見えない。俺がこいずみまりの描く「ヒネた」性格のキャラに慣れてしまっていたり、こいずみまりの他の作品に出てくる「ヒネた」キャラ(主に『健全恋愛ライフ』のマキなのですが)を想起してしまうせいで、ヒネたように見えないせいなのか。それとも他の黒藤家の面々のインパクトが強いせいで、相対的に常識人に見えてしまうのか。上に挙げた理由のどれが原因なのかはよくわからない。
 亜麗とエツ子は恋仲になってほしいような、そうでないような。しばらくは今のままのスタンスのままでいてほしいなあ。
 絵里花は性格がヒネている上に黒魔術(霊能力?)的な要素とゴスロリ(単なるヒラヒラ?)要素が加わっていてインパクトたっぷりなキャラ。ブラコン要素があまりなくて、恋愛面に関しては普通の(インセストではない、という意味ね)少女っぽい印象があるのも良い。
 カミーユはド変態のハズなのだが、ネタのアイテムをおおっぴらに出さない(正確には出そうとするのだが、その前に亜麗とかが止める)辺りは『MOMO』の限界なのか。『愛のふじつぼ』とか『若奥様とセールスマン』とかだと、もうちょっとおおっぴらに変態(とか、それに類する鬼畜キャラ)はそれらしく描かれていた記憶があるので、ちょっと物足りない印象もある。まあ、カミーユはこれからもまっすぐ変態の道を突き進んでいただきたいなあ。

小ネタについて

 作中に「モチの食べ過ぎでシルエットが変わるほど太る」とか「庭にシソを植える」とか、どこかで見たネタがちらほら出てくる。このままいくと、「演技していない女の顔」のネタも出てくるのかしら、と思うが、このネタをやる人間は、この作中ではいなそうだなあ。

今後の展開について

 コミックスのカラー書き下ろしページにロベルタとか花右京とかっぽい、メイド女戦士っぽい人が出てくるのですが、これは微妙に伏線になっているのか。個人的には今後絡んできてほしいような、そうでないような。

まとめ

 今のままで、個人的に傑作とは言わないまでも充分面白い。今後化けた場合に面白くなるかどうかは微妙なところで、不確定要素が大きい。こいずみまり先生はこの作品については大化けはさせない、と俺個人は予想している。