タカハシマコ『エマオイア』

 一言で言うと、もどかしい話。多くのキャラクタが自分に都合のいいコトしか考えていなくて、その辺りがタカハシマコの毒と混じると、目も当てられない状態になりますよね。その毒とかのせいで、ささくれ立った気分を楽しめる人には、まあいい本なんじゃないの。登場人物がちょっと多めなせいで、『乙女ケーキ』であった、キャラクタが毒を自分独りの中に秘めておくことによる軽減作用が無くて、ちょっと個人的には読んでいて苦しかった。
 更に思春期の男女のアレコレみたいなのとか、キャラクタ自身がされて嫌だと思っていたコトを、そのキャラクタが他のキャラクタに対して行うみたいな部分があって、それがまた毒を効果的に増幅していて、苦しさが増すわ。
 ガジェットが非常に広義のSFっぽいけど、こういうのはバイオホラーとかに分類した方がいいのかな。何だろう、ちょっと困る。
 あんまり他人には勧めたりしないであろう作品。