犬『ラッキーな日』
- 作者: 犬
- 出版社/メーカー: 一水社
- 発売日: 2009/06/29
- メディア: コミック
- 購入: 23人 クリック: 301回
- この商品を含むブログ (18件) を見る
はじめに
犬先生の短編集。『初犬』も短編集だったけれど(「ストレンジ♥カインド オブ ウーマン」シリーズの序盤 + 短編数作)、『初犬2』『初犬3』は「ストレンジ〜」のみしか収録していなかったはず(『初犬3』は性根入れて読んでいないけどね……。どうも「ストレンジ〜」に出てくる女子が何を考えているのかわかりにくくて、読むのに集中力が要るんだよね)なので、久しぶりの読み切り中心で構成された本ということになるね。
以下、各作品へのコメントです。
「船長と俺」
文化祭でコスプレ喫茶が大流行。メジャー路線とは異なる路線でパイレーツカフェを行ったクラスでは……という話。船長コスプレ女子は男装のTSっぽさを含んでいて良いなあ。あと、海賊眼帯。カトラスなのか単にサーベルなのかハッキリしないが、その辺りはご愛嬌ということで。
「笑う門には風が吹く」
部活の先輩が怪我をしたときに、たまたま血液型が同じで血を提供した主人公が恩返しをしようとする先輩につきまとわれるようになって……という話。まあ、あとはお約束と言いましょうか。下着を指で玩ぶ先輩がちょっと可愛い。
「おれんじ・ろまんす」
生徒会会計の男女ペアが大量の仕事を2人きりでこなそうとする話。付き合っている2人には、別のコトに集中してしまって仕事をこなせなかったという前科があり……まあ、あとは自動的に。
あと、全然関係ないけど、生徒会長の使っているPCがLet's note っぽいので、ちょっとプチブルっぽいわ。
「special door」
付き合っているのになかなか関係の進展に応じてくれない彼女と男の子の話。女の子の恥じらいぶりが、ちょっと時代遅れに見えるけど、まあそれは彼女の可愛さを増すためのスパイスということで片付けておきたいところ。
個人的には、女の子に発破カケてくる姉が非常に好みである。彼女がメインになる話を書いてくれないかなあ。
「黒猫のぶーがるー Step 1」
「黒猫のぶーがるー Step 2」
話したことは無いけれど、憧れていたクラスメイトの女子に思い切って告白して玉砕した少年。でも、その女子はちょっと変わっていて、彼女の行動に巻き込まれるような形でどんどん関係は進んでいって……みたいな話。平たく言うと「行為から始まる恋愛」なのだけれど、ボーイミーツガールで語られることの多い、「初めての行動や感情への戸惑い」みたいなものが上手く描かれていて高評価。「何を考えているかわからない女の子」を描く時に、これぐらいコンパクトにまとまってる状態でオチが付いていてくれると、読む側としては、やきもきしたり食傷気味になったりしなくて好きだなあ。
「お気楽らいだーす」
いきなり「Hしてほしいの」を迫ってくる女子と迫られた男子の話。男子がある種ストイックな様子で物事に打ち込んでいる姿を見て、オンナノコが自分にもその情熱を向けてほしいと考えてしまう……まあ、まとめてしまうと味気なくなってしまうけれど、これ以上書きようが無いかもしれないなあ。
「ラッキーな日」
これも色々言ってしまうと味気なくなる話だなあ。お約束なのは悪くないんだけど、シチュエーション的に一本道すぎてもう。女の子のしたたかさ、ってのも、この話だと折り込み済みすぎるし。
「てんとうむしはお好き」
告白して来たのに、自分に興味があるのかいまいちハッキリしない彼氏に、やきもきする女の子の話。まあ、てんとう虫と現代アートって言うガジェットがちょっと個性的ね。何を考えているかよくわからないけど多分優しい男の子ってのも、ちょっと昔の少女漫画的かしら。必然的に女の子がアクティブになるからというか、女の子が語りのイニシアティブをとらざるを得ないから、なんですけど。
まとめ
ラブラブ光線全開でパワフルなインパクトたっぷりの女の子は居ないけれど、どの女の子も平均以上に可愛いので、良い短編集だと思いますよ。