他人に作品を薦めるということ

 ウテナのDVDを貸し付けた知人Aがその消化を始めたらしい。それは大変良いことなのですが、知人Aは並行してシムーンも消化しているらしい。それはとてもとても素晴らしい組み合わせなのですが……偏っていませんかね? 確かに仲間内で評価の高い作品を見せて「常識」を教え込むと言うのは妥当なのですが、あまりに仲間内過ぎやしませんか? まあ、過激な方向に進んで濃密な時間を過ごす事自体は止めませんけど。
 そして、その場に居た別の知人B(20歳くらい年上)にウテナシムーンを薦めるかどうかというコトを考えていて、俺個人としては知人Bにはウテナシムーンも薦めない、という結論に俺の中で達した。以下、あんまりまとまってないけど前々から考えていた事について書くよ。
 ウテナについては、画面の華美さと言うかケレン味と言うかに対して、Bさんは斜に構えてしまうそうで心配。あと、何て言うか、あまり言いたくないのだけれど年齢的なアレとか。理性的に描かれている内容を理解して頂けそうなのだけれど、インパクトを伴った形で受け止めて頂けそうにないかなあ、とか。んー、『けいおん!』とかお好みなので、素直な内容を素直な演出で見せるのは響きそうなんだけれど、素直な内容をヒネた演出で見せるのには「何でヒネるの?」とか評されてしまいそうだしなあ。あと、ヒネったことによる微妙な設定の齟齬と言うか不備と言うかそういったところを突っ込んで来そうだしなあ。
 シムーンについては……何と言うかなあ、簡単すぎるまとめをしてしまうと、モラトリアムとそれに終止符を打つ選択と言う行動を巡る物語なのですが、今までの人生の中の選択を、戦略的で理性的な思考にしろ、ある意味短絡的で感情的な思考にしろ、自身の意思で選択したのだと認識しているようなタイプの人間に対して、あんまり訴求しない物語のような気がしてしまうんですよね。平たく言うと第2話で滂沱の涙を流してしまうかどうかがカギ。んで、Bさんのプロフィールとか現状とかを考えると、訴求しないタイプの人間に見える、と。俺自身はオンエア当時はそうでもなかったのだけれど、ちょっと前に前半部分を見返した時には、自分が粉吹きそうになっていることに気づいて、ちょっと涙ぐみそうになった。まあ、シムーンには俺自身の力量不足により、言語化したりリストアップしたり出来ていないのだけれど、他にも視座があるはずなので、そこに引っかかって頂ける事を期待するのがいいのでしょうかね。オンエア当時の俺自身は、フェミニズム(? ジェンダーって言った方がいいかしら?)的な雰囲気と、登場人物のある種即物的なエロスに魅かれて見ていました。マミーナとかモリナスとか。俺は本当にタダの俗物ですね! それはそうと、シムーンにもやっぱり表面的な設定の甘さに見える部分があって、そこがBさんにとってはネックになりそうなのよね。
 俺は、Bさんのことを侮っているのかなあ、とちょっと不安。