竹宮ゆゆこ『とらドラ・スピンオフ! 幸福の桜色トルネード』

 (以下ネタばれ含む)
 ええっと、非常にラブコメブコメした話だよ。不幸少年とエロエロ(ルックスのみ)天然少女というバカップルの。
 読んでいる途中は非常に楽しかった。でも読み終わってから、ふと「こんなに(誤解を恐れずに言うならば)男好きする感じの女の子を書くなんて、作者は何を考えているんだろう?」と言うのが妙に気になった。俺が作者に対してメタ張って読みたがる癖の持ち主なので、そういうのが(本編を読んだときとは別の意味で)楽しくて仕方ない。
 とりあえず、今までに俺が考えている竹宮ゆゆこのスペック(三十路ちょっと手前の女性、親元を離れて一人暮らし、ちょっと体重の増加が気になる感じ)を考えると、ここまで、ある種男の理想っぽい女子を書いていて、虚しくなったり、逆に「こんなのありえねーよ!」とか思ったり、反感を覚えたりしないのだろうか? さくらって、思いっきり食ってもあんまり体重に響きそうに無い(少なくとも見た目には)ような感じがするもの。いいや、そういう裏設定があるに違いない(と勝手に妄想してみる)。
 でも、竹宮先生はそこで嫌いなキャラを書き続けられるほど、悪い意味で器用な人ではないと思うんだ。多分、ネタ的なまでの天然さとエロさは、そういうリアルな次元から*1かけ離れちゃって、天使みたく見えるのかなあ、とも思う。

*1:スカートから下着が見えないような歩き方とか動き方ってのは、女の子は比較的はやく習得するものだと思うし、昔読んだ女性作家の本だと、シリアスなシーンの最中に爪をかむのを諌められる、と言うのがあって、物凄くシリアスな思考の途中でも見た目とかを気にしてしまうところから、そういう思考が女性には染み付いているのかなあ、と思ったことがある。