初音ミクの話

 何となく、初音ミクに対する自分の印象を述べてみる。
 我はイタ曲とか電波ソングとか呼ばれる何かが好きなので(かといってスレ(あるのか知りませんが)住人ではないし、その界隈に対するアンテナを張って話題になったものをこまめにチェックしているわけでもありませんが。現にMOSAIC.WAVとかは全然チェックしていません。チェックしたほうが幸せになれるのかしらん)、クリ厨の男の子がそれを生産するツールとして非常に評価できるのではないか、と考えている。
 イタ曲の歌詞は、何というか、男の子の声で聞くと本来のイタさとはまた別のイタさが加わると思っていて(まあ、その辺のイタさも含めてイタ曲なのだけれど)、その辺を初音ミクを使って歌わせることによってうまく中和できるのではないか。男の子が書いたイタい歌詞を初音ミクが歌う、という構図。この際初音ミクの歌があんまりうまくなく聞こえてくるという点は、効果的に働いていて、女性ボーカリストのイタさというのをうまく再現できるのではないか。男の子自身で歌ったときには、男の子のイタ曲にこめた情念はよく伝わるのだけれど、そのこと自体が一過性のネタになってしまって、次が続かないのではないか。その点初音ミクだと、次に続くのではないか。
 いや別に、女性ヴォーカリスト雇えばいいじゃん、って話はあるのだけれど、イタ曲の一パターンとして、女の子の恋愛上の心の動きを、コンピュータの用語を使ったメタファーで記述する(アナタのキスで私に組み込まれたプログラムが暴走してメモリいっぱいでフリーズしちゃうの、早くパスワードを入れて解放して、みたいな歌詞ね)ってのがあって、それを歌うのが生身の女性ヴォーカリストではなく、プログラムされた初音ミクだってのは、曲を含めたコンテンツの構造にも、歌詞と同様のメタファーが含まれていて面白いなあ、と思うの。もう誰かやっていそうな気がするなあ。めんどくさいのでニコニコの検索とかはしない、というのはちょっとレイジーな姿勢よね。トゥルース 闇の中で〜。