竹本泉『よみきりものの…ヒトライフ』

 (以下ネタバレを含む)
 従来の作品の続編と、それに絡む作品のペアが3組計6本の短編集。まあ、いつもの竹本泉クオリティ。個人的には表題作にもなっている「ヒトライフ」が好み。普通だったら、この作品で描かれているよりも色々悩みそうな境遇におかれた主人公が、作品中でも一応悩むのだけれど、ちょっとした一言やちょっとしたちゅっちゅで、物凄く明るくなって、それまでの悩みを一気に振り切って幸せオーラを放つ、という辺りが、もう俺が竹本泉に求めているもののひとつそのままで、好き。あと、変さのスケールが大きい、という点で「あかいみち」のインパクトは凄い。単純なガジェットのスケール、という点では、宇宙を扱っている「夢の巫女」のほうが大きいかもしれないけど、「あかいみち」は主人公の周囲って言うのと、地球オーダーのガジェットが何の脈絡もなく直結する、という落差がインパクトを高めていて好ましい。って、ほとんどネタばらしてるのと同じ感想になってしまった。ちょっと反省。