金田一蓮十郎『マーメイドライン』

総評

 金田一蓮十郎って、『ジャングルはいつもハレのちグウ』のイメージが強くて、「ほんとにこれ金田一蓮十郎先生?」と思ってしまった(ストーリーは勿論のこと、線の描き方とかトーンワークとかも大分『ハレグウ』とは異なる感じ)。イイ買い物をしたと思う。ストーリーは全体的に同性愛(とか、まあ中にはちょっとストレートな同性愛ではないものも混じっているけれど)の切なさを前面に出しているせいで、かなりシリアスな印象。コメディーっぽい百合を期待して読むと大外れかも。あと、百合のハズなのに男の影が何だか色濃く出ていて、その辺もシリアスさを加えていて、好印象。

めぐみとあおい

 同級生の女の子同士の友情とも愛情ともどちらとも言い切れない感じの関係を描いた話。明確に友情とは異なるんだろうけど、キスとかをしそうには無い感じ。2人の間に微妙な温度差が存在するんだけれど、その温度差も含めて、お互いのことを大切にしようとしている感じ。言葉にするのは難しいんだけれど、大体そんなところ。

あゆみとあいか

 体は男、心は女、好きな相手は女の子という人と、その恋人の女の子の話。カミングアウトから2人の関係が変化していって……。ストレートな同性愛ではないけれど、男の子の心の動きが他の作品と同じように切なくて、それに対して女の子が色々と救いになる感じ。

ゆかりとまゆこ

 OL2人組の疑似恋愛っぽい関係の話。これに関しては、あまり取り立てて言うことは無いかなあ。

三浦さんと私

 ちょっとヒネた感じの女の子がクラスメートの女の子に対して抱いている気持ちの話。主人公のヒネたシニカルな感じがよい。