鈴玉レンリ『purple agate』

purple agate (ホットミルクコミックス)

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 [リリカル][鈴玉レンリ]

総評

 記念すべきデータベース1件目、と言うことで大人しめのものを選んでみた。
 セックスの途中に心情の吐露がぐだぐだ入る感じ(ぐだぐだ、と言う表現がちょっとネガティブだが、その辺のリリカルさは見ていて心地よい)。まあ俺の中では安牌認定。鈴玉レンリ先生と結婚したい。絵柄については、表紙のクオリティをよく保っている。表紙買いをして大損はないと思う。85点。
 以下個々の作品について。

「いえない!」

 快感に目覚めはじめた女の子が、貪欲に求めてみたいんだけど、恥ずかしくて……という話。貪欲に、と言ったって、常識の範囲内だよね。

「恋愛契約」

「恋愛契約2」

 「よく知らない相手との恋愛よりは他にやりたいことがあって……」な男女が利害の一致から、恋人のフリをし始めるのだけれど、次第に本気になって……な話。たった一回のセックスで子供ができていると言う前提で話をしてしまう、2人のリリカルさが泣ける(ちょっと誇張)。ここまでが1。
 2のほうは、正式に付き合うようになってからの後日談、て感じ。

「second time」

 血を見るのが苦手な少年が、初エッチでうまくいかなかった上に、彼女の破瓜の血を見て気絶してしまい、自信喪失していると……っていう話。タイトルから予想がつくとおり、相手の女の子もおんなじようなことで悩んでいて、2回目のチャンスが訪れるんだけどね。女の子が和風っぽい髪型で貞淑そうな印象があるのに、積極的という辺りが、見ていて楽しい。

「sleeping lover」

 結構長い付き合いなのに、彼女と一晩中一緒にいたことがない、と悩んでいる彼氏が、彼女の過去を知って……という話。まあ、たいした悩みじゃないけれど、男の子から見るとたいしたことでもないことをぐじぐじ悩むのが恋する女の子、と言う結論で。女の子、っていう年には見えない(大学生くらい?)のだが、まあ、いつまでも少女の心を持っている、と言うことで。

「さずかりもの」

 結婚してだいぶ経つのに子供ができなくて……な若夫婦の話。子供を作るためだけにセックスをしているわけではないし、セックスレスではないんだけど、なかなか素直に相手のことを求められなくて……というリリカルさがよろしい。

「unesiness」

 「さずかりもの」の嫁の弟が付き合った女の子は、今までの男運が悪かったらしく、歪んだ感じのセックス観(「男の子は生でやりたいんでしょ! セックスさえしていればそのときは自分が必要とされていると感じられるから……」とかいう感じの)を持っていて……と言う話。女の子はいい相手にめぐり会えてよかったね。

「大きな彼女は好きですか」

 おっぱいが大きなばっかりに、そういうところにしか目が行かない男の子とばっかり付き合ってきた女の子が、この夏付き合った相手はちょっと違っていて……という話。えっちしててキスしないのはいろんな意味で邪道なので、そんな男の子のことは忘れていいと思うよ。その辺の経験からか、女の子が序盤一歩引いた感じに描かれているのだけれど、そこから今の彼氏にのめりこんでいく感じが素敵。

「pretty lover」

 女顔の男の子が、好きな女の子によってくる悪い虫を女装して退治する話。女の子のほうは、男の子が男の子を好きなのだと思っていたのだけれど、ある日その誤解が解けて……。何だろう、それ以外に語ることないや。男運の悪い女の子シリーズなのかしら。

「スキスキ」

 オタカップルの話。昔はジャンルが一緒だったから、結構会話も弾んで一緒にいるだけで楽しくて、でもジャンルがお互い違っちゃってからは、前のようには行かなくて……安易に「そこでお互いの萌え対称なコスプレですよ」というのをやってみる。でも素材が萌え対象からは外れていて、それでもやっぱりお互いに好きだ、と言うことを認識する話。って、全部内容言っちゃったよ。如何に相手が自分の萌え対象でないか、を言い合って痴話喧嘩してるあたりなんて、非常にほほえましいと思うよ。

「keep pace with...?」

 大学で人気の女の子に、1ヶ月前に告白した男の子。なかなか返事をもらえないでいるうちに、他の男の子がどんどん彼女にアタックして玉砕していって、次は自分の番かな? と不安になっているのに、彼女は自分に対して無防備な笑顔を見せていて……という話。でっかいぬいぐるみを抱きかかえてまどろんでいる女の子がかわいい。

「BOY FRIEND」

 「男女間の関係は恋愛だけなのかしら?」と言う問題に挑戦してみた作品。恋愛関係が次第に別のものに変わっていく感情の経緯を振り返る辺りの、女子のモノローグとか、今読み返してみても結構新鮮だった。モノローグが饒舌になってしまう作家さんは、往々にしてモノローグがうざったい印象を与えてしまうことがあって、鈴玉レンリ先生もそのきらいがないわけじゃないけれど、俺は読み返してみて自然に読める分量だった。この辺りは個人の好みかな。

補足

 以前(3年前くらい?)サブアカウントで公開していた内容。見出しとか段落区切りをこちらのフォーマットに合わせて編集したのみ。内容に大きな変更はなし。
 別アカウントの場合、[作者名]タグと[ジャンル]タグをくっつけて管理しようと考えていたが、こっちでそのまま実行するとカテゴリが莫大になるのでやめ。代わりに、冒頭の部分に「サブカテゴリ用マーク」と言うのを追加してみた。