藤ノ宮悠『姉のニオイと僕の汁』

姉のニオイと僕の汁 (いずみコミックス)

姉のニオイと僕の汁 (いずみコミックス)

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 [姉][藤ノ宮悠]

総評

 9作品中8作品が姉/お姉さんモノ、という姉好きの俺には堪らない一冊。
 全編にちっちゃい体格の男の子と、お姉さん、と言う組み合わせ。いまいちバリエーションに欠ける印象があるのは、黒髪おねえちゃんの割合が多いせいかな。その辺は以下で個々のお姉ちゃんのルックスへ言及して、考えてみるつもり。
 絵柄については、表紙から大外れもなく安定している。
 ダダ甘おねえちゃん、と言う嗜好が溢れているのは好印象。初単行本なので今後の飛躍への期待もこめて、80点。

「姉と僕とあね」

 主人公と実姉、隣に住んでいる幼馴染のお姉さんの3人は、毎日一緒にいて暮らしていたんだけれど、実は……という話。中身はちょっとおいておいて、とりあえず女性キャラのガジェットから説明。
 実姉。髪型は茶髪でショートとミディアムの中間って感じ。ショートパンツとTシャツ(袖まくり)で帰宅する描写があるので、体育会系な印象がある。弟をこき使って、いうことを聞かないと弟のこめかみを拳骨でぐりぐりするので、ボーイッシュと言うよりは横暴な印象。
 幼馴染のお姉さん。髪型は黒髪ロング。実姉とは対照的な感じで、女の子らしい印象。
 んでストーリーについて説明。実姉は弟に対して実弟以上の感情を抱いていたのだけれど、それを表には出来なかった。だが、幼馴染のお姉さんも弟のことをねらっていて、もうすでに肉体関係になっていると言う事実を知って、困惑して……まあ、後はお約束どおり、実弟への気持ちを諦めようとする姉に幼馴染お姉さんが唆す感じで3人での行為に突入、と。実姉も即効で弟との行為にハマってめでたしめでたし。
 基本女の子2人男の子1人、と言う構図は好きなので、楽しかった。

「隣の弥生はオレの嫁」

 小さいころから兄弟みたいに育ってきた、お隣のお姉さんと主人公。お隣のお姉さんの通う学校を主人公も志望しているのだけれど、馬鹿なのでお隣のお姉さんに家庭教師をしてもらっている。真面目なお姉さんが時間通りに来ない日があって、お隣の様子を見に行くとお姉さんが倒れていて……という話。介抱のためにおねえちゃんお部屋にお姉ちゃんを運ぶ。ひょんなことからおねえちゃんをベッドに押し倒す主人公、って後はお約束だよね。
 お姉ちゃんのルックスについて。黒髪ショートヘア、勉強をするときには眼鏡着用。
 ストーリー以外で目に留まったところについて。この作品の初出はツンデレアンソロジー(『ツンデレ☆ラビュ〜ッッ**』 *はハートマーク)なのですが、1ページ目でお姉ちゃんに、
 「い 言っとくけど! / おじさん達に言われて / 仕方なく勉強見て / やってるんだからね!!」
 という台詞があって、これだけでツンデレという編集部からの要求を満たしたことにしたんだろうなあ、とか思った。だって、お姉さんは、主人公のお嫁さんになりたいと思っていて、主人公は馬鹿なので、母親の「もう、うちの子みたいなもの」という台詞を「自分とお姉さんがいずれ結婚するんだ」と受け取っているので、後半はラブラブな行為が展開されているんだもの。

「しちゃって! ハマりお姉ちゃん」

 一線を越えてしまった姉と弟。でもそれ以来弟は、姉の胸にじゃれついてくるだけで、それ以上を求めてはこない。「あたしにはもう飽きちゃったのかしら?」とか姉が悶々として弟を問い詰めると……という話。あとはお約束どおり。
 姉のルックスについて。黒髪セミロング(ツインテール気味)。
 弟が、前半は遠慮気味なのに、後半がっついていくところの落差が、見ていて気持ちいい。ちゃんと相手の状況を見ながらがっついていくあたり(エロマンガにおけるファンタジーのひとつとはいえ)、2回目なのに、経験値の高い行動するなあ。その辺で、ラブラブ度が高くて好印象。あと、多分裏表紙のカップルはこの作品の人。

「お姉ちゃんのドキドキおっぱい」

 実家を離れて下宿している姉が、実家で独りになってしまう弟の世話をするために帰ってきて……という話。例によって姉は弟のことを男性として意識しているのだが、表には出せない。でも、一緒にお風呂に入って、ちょっぴりいちゃつきながら背中を流すくらいなら大丈夫かな? ということで実行してみると、弟の反応が意外に激しくて……両思いであることが判明、という流れ。
 姉のルックスについて。黒髪ロング(腰くらいまである)。学校の制服が黒の長袖ワンピースなので、ミッション系な印象がある。
 個人的な趣味ですが、一緒にお風呂、というのはポイントが高いですね。

「お姉ちゃん固め」

 ことあるごとにプロレス技をかけてくる姉。なんだか最近弟の様子が変だなあ、と思っていると、どうやら性に目覚め始めたらしい。実際に弟の悩みの種である性器を見ながら相談に乗っていると、お互いに高ぶってきて……という話。
 姉のルックスについて。髪型は黒髪ショートカット。眼鏡とレンギス着用。割と横暴な印象があるのに、高ぶってきて以降の描写が、自分の中の快感に戸惑っている感じでちょっと読者の庇護欲求をくすぐるかな。

「処女と非処女と童貞と」

 恋人に振られて自棄酒した挙句、妹に、男の子を紹介して! と要求したお姉ちゃん。んで、そのとおりに妹が同級生の男の子を連れてきたのだけれど……という話。妹と姉の年齢差は、処女の姉が「ちょっとね……」と戸惑うくらいあるのだが、せっかくだから味見(お姉ちゃんの貫通式)をしてみよう、ということになる。妹は気が利く人なので、クラスメイト中で貴重な童貞君を連れてきていて(クラスのほとんどの男子とした、という妹が言うことなのでほぼ確実)、その童貞君の持ち物がクラスで一番くらいなので、速攻姉が虜になるうえに、妹も虜になる。
 姉のルックスについて。黒髪ロングヘアで黒縁眼鏡着用。ロングスカートに無地の長袖のトレーナー(?)といういでたちなので、地味な印象がある。この姉に限ったことじゃないけど、どの女の子も、ゆったりとした感じの部屋着か学校の制服かを着用している場合が多いので、あんまり飾りっ気がないのも、バリエーションに欠ける印象がある原因なのかもしれない。

「ゴシュジンサマ。」

 珍しくメイド物。両親をなくして祖父の家で暮らすことになった少年に与えられたのは大きなお屋敷とたくさんのメイドたちでした。お家で優しいメイド長さんや教育係のちょっときつそうなメイドさんと一緒に暮らすのは好きだけれど、自分だけが何もしていないのは嫌な少年が、当主の自分にしか出来ない仕事でみんなに恩返しをしたいなあ、と思っていると……という話。まあ、後はお約束だよ。

「戦闘魔導士ハルルと魔王様」

 20ページ中前半12ページは女魔導士ハルルの戦闘シーン。魔法の名の下に何でもありな感じで、個人的には大好き。「荼毘に付せえ!」「流星キーック!」「電光パーンチ!」「無限の重力を食らえ! 無限重力拳(ブラックホールパンチ)!」などのセンスがもう最高。
 後半8ページは前半にぶっ倒した魔王が、かわいい男の子でショタ好きお姉さん大喜び、という話。この辺の落差が(前半は男っぽい台詞だったのに、後半ではハートマークが乱舞します)見ていてものすごく気持ちがいい。

「だいすきおねえちゃんおっぱい」

 お隣の家のお姉さんは、美人で優しくて頭がよくてスポーツ万能なんだけれど口が悪い。主人公は最近授業が難しくなった上に、お姉ちゃんのおっぱいのことが気になって、勉強が手につかない。でもひょんなことからお互いに好きだということがわかってしまって……という話。
 お姉ちゃんのルックスについて。黒髪ショートヘアで眼鏡着用。
 というか、この話は一番藤ノ宮悠という作家をあらわしているんじゃないかと思う。表紙のカップルがこの作品の人なのと、あと全体に見ていて気が強い眼鏡のショートカットの女の子が好きなんじゃないかなあ、という印象があったから、かな。