鈴玉レンリ『Brownie chocolate』

Brownie chocolate (ホットミルクコミックス 290)

Brownie chocolate (ホットミルクコミックス 290)

総評

 基本的にいつもよりも若干ヌルめな鈴玉レンリ先生。痛々しい印象のあるリリカルなテーマとか題材とかはあまり表に出ていないかな。全体的に普通の少年少女の悩みみたいなのを淡々と描いている印象。

「青い瞳のボーイフレンド」

「青い瞳のボーイフレンド2」

「黒い髪のガールフレンド」

 日本オタクな外国人の両親の間に生まれたので、ルックスは金髪碧眼なのに中身はまるっきり日本人の少年と、その恋人の黒髪少女の話。前の2本は少女側の視点で描いていて、残り1本は少年側の視点で描いています。1本目は破瓜時に少年の体型の一部について感じた戸惑いみたいなもの、2本目は、しばらくして行為に馴染んできた時期のアレコレ、3本目は自分のルックスと中身のギャップについて少年が悩んでいた内容と現在の恋人との関係についての話。どれもまあ面白いよ。

「あかてんラプソディ」

 古典以外は学年トップクラスの理系少年と古典女教師の追試時間中の話。少年がワザと0点をとっていたことが判明して……みたいな。最近はあまり表立って行動を起こしていないけど、俺が女教師好きだと言うことから、この作品は過大評価してしまうなあ。黒パンツスーツ眼鏡にドキドキ。

「Twinkle tone」

 上手く歌うのがちょっと苦手な合唱部少女と、彼女が憧れている歌の上手い合唱部男子で個人練習をする話。恋と合唱の狭間で揺れ動く少女の心とか、少女が安心して練習できるように心をくだく少年のカッコ良さなんかが見ていて心地良い。あとラスト辺りの恋にも合唱にも2人して全力で取り組もうとする姿は好き。

「興味本位のスタートライン」

 周囲の友人が次第に恋愛とかその先の当然の行為とかを経験していくのを知った少女。彼女には幼馴染みの少年が一番身近な存在だったが……みたいな話。お互いに相手に対する感覚が近い辺りが見ていて好感が持てる。少女が地味目でスレてなさそうで、それだけに少年に対する情が深いのもツボ。

「ぼでぃらんげーじ」

 進展したいのになかなか最後まで行き着くことが出来ないカップルの話。今回は泊まりなので、時間のある時ならば……みたいな。微妙な時期の微妙なアレコレについての話なんだけれど、あまり深刻な印象はないかなあ。この辺は描き方による部分(ネーム時の起承転結の分量配分とか台詞回しとか)が大きいと思うので、その辺の事情を題材として選んだというコトを高く評価すべきなのかしら。

「あきる基準とあきない基準」

 ちょっと変わったところのある彼女とスるようになったけれど、飽きっぽい彼女にはすぐに飽きられてしまうのではないかと不安が募ってきて……という話。女の子がデコ(95%くらい露出)なのが、鈴玉レンリ先生としては珍しいキャラの造形かな。デコがこれまでの作品で皆無という訳ではないのですが、どうも前髪たっぷりな女なの子を描くという印象が強いので。

「あの頃の君と」

 昔近所に住んでいた年下の女子と大学で再会。彼女はもの凄く背は伸びたけれど中身は以前と全く変わっておらず、自分に無邪気なまでの好意を向けてくれて……という話。背が高い女子は個人的に好み。行動が大分子どもっぽい辺りはちょっと……なのだが、うーん。俺自身だけのことを考えると、自分より背が高くても全然問題ないので。相手側から考えるとつりあいとか考えちゃうかもしれないけど。その辺をクリアするために、この作品ではあえて女の子の性格付けを無邪気にしているのかしら。

「resemblance」

 たまたま悪友から貸し付けられたポルノDVDには付き合っている恋人に似た女優が出ていて……という話。結局誤解と判明 -> 破瓜の流れ。あー、この娘の髪型は好みだわ。以前読んだ鈴玉レンリ先生の作品「uneasiness」の娘とどことなく似ているせいだろうけど。何と言うか鈴玉レンリ先生の描く派手目な小悪魔っぽい女子は個人的にツボですね。今回の娘さんは性的なことについてはどちらかと言うと奥手な性格なのですが、ポルノ女優で彼女に似ている人間が存在すると言うことへの説得力のために、ちょっと派手目な小悪魔っぽいルックスを与えられているのかな。

「そうだ、海へ行こう!」

 去年はたくさん泳ぎに行ったのに今年は全然行こうとしない彼女と、その彼女を引っ張り出そうとする彼氏の話。何回か書いているけど、俺は体型にコンプレックスを持っている女子って言うのが個人的にツボなのと、今回の話では若干水着が食い込んでいる辺りの肉感的な女の子の絵がツボ。

「たしかなもの」

 子煩悩な兄を見ていて、自分も……と思い始めた妹とその旦那の話。妻が旦那を誘うときのみさくらっぽい台詞回しとか、妻の過剰な妄想がダダ漏れなトコロとかで、コメディー的な要素と言うか、「妻は普段どんな生活をしているのか」というメタな笑いの要素と言うか、そういった要素が強いのかなあ。