まだ子『先輩熱』

先輩熱 (マンサンコミックス)

先輩熱 (マンサンコミックス)

はじめに

 俺の中で鉄板指定のまだ子先生の新作。成人指定は付いてないけど、作者本人も認めているように、充分にイケる代物です。
 個性的な先輩女子(中にはイレギュラーみたいなのも居るけれど) 10人との行為を収めた作品集。どいつもこいつも可愛いのが個人的にもの凄いツボ。

「スキップしたから♪」

 ルックスが子どもっぽいことにコンプレックスを持っている生徒会長との恋愛話。俺はロリではないけど、「ルックスにコンプレックス」ってのは個人的にツボなので高評価をします。

「淳也くんの幻惑。」

 アメリカ暮らしの間に飛び級で大学まで終わらせちゃった幼馴染みの女の子(3歳年下)との恋愛話。コレが一番イレギュラーな先輩かな。年齢的には下だけどルックス的には同年代なので違和感は無いし、「背伸びをしてみたいオンナノコの心」みたいなのも味わえて個人的には満足かな。

「追っかけですから★」

 コレもちょっとイレギュラーかなあ。主人公は少年野球をやっていたけど、今はソフトボールをやりつつ若干クサり気味。そんな彼の追っかけをやっていたけど、今はソフトボールで実力を発揮して将来を嘱望されている女子との恋愛話。年齢の関係は台詞として明記されてはいないけれど、背景のフォトスタンドの写真から推測したりして、多分女子の方が年上かな? 基本的にラブラブなのだけれど、時々ドギマギしてしまうような場面もあって、その辺のギャップも見ていて楽しい。

「お泊り会」

 姉貴の友達の女子との恋愛話。彼女が引っ越す前には主人公とイロイロあったりしたけど、久しぶりに姉が主催したお泊り会で再会して……という話。比較的順当な話で、イロとかインパクトとかは少ないけど、ちゃんとしていて好き。

「通称・カナヅチ部」

 本当は泳げるんだけど、夏休みの水泳補習に来る先輩に会いたくて、泳げないフリをしている男子の恋愛話。水泳補習というシチュエーションも上手く生かしていて良作。

「現地集合で!?」

 部の伝統で、合宿先に一人だけ1日早く行くよう仕向けられた1年生男子と、それに巻き込まれてしまった2年生女子の恋愛話。合宿先はフツーの旅館なので、それを生かしたシーンもあったり。ぶっちゃけると、俺はW&M好きなので、「通称・カナヅチ部」とこの話は、そういった意味で高評価ですよ。

「その距離48h」

 年度をまたいだ辺りの微妙な年の差がある男女の恋愛話。アリガチな内容なんだけど、女の子(年上)の方でも男の子の方でも、傍からはツマンナイことの様に見えても本人にとっては重大な不安みたいなのを抱えていて、それを埋めるために求め合うみたいな。まあ、学年が違うってのが、とてつもなく大きなことに感じられてしまうお年頃、ってヤツですね。

「せんぱいねつ。」

 引継ぎから間もない美術部部長女子と彼女にコキ使われる1年男子との話。何て言うのかな。孤独に対する若干の諦めとクリエイティブな方向への欲求と、自分の体型に関する若干のコンプレックスと男女関係方面への好奇心が入り混じってる感じの女子がなんとも魅力的。そうか、一言で言うと「若い」って言うことか。

「もちものけんさ」

 風紀委員長の女子と、彼女にラブレターを出したばっかりに風紀委員に入り彼女の配下になってしまった男の子の話。彼女の方は付き合っているつもりでも、男の子の方がラブレター以来なかなか行動してくれなくて……みたいな。ちょっとコメディー色が強めなのかな。どうなのかな。ちょっと思考回路が独特気味な女の子の表面的な行動と本音のギャップを見てると面白いかな。

「卒業式の朝に、」

 卒業式の朝に一番乗りを目指して教室に行くと、そこには憧れていたクラスメート(1回留年で年上)の女子がいて……という話。彼女にまつわる噂と本当の姿のギャップみたいなのというか、ある意味での一致振りというか、そういうのを楽しむ話かなあ。

まとめ

 作者本人もおまけページで語っているようなことになってしまうけれど、基本的にどの女の子も二面性みたいなものがあって、非常に良い。先輩として大人ぶりたい気持ちと、年相応の男女のコトへの好奇心の強さとかあどけなさとか無邪気さとかがの子供っぽい要素のバランスが、最高に読んでいて気持ちいい。という訳で、みんなも買うといいよ。